ふみこごと

ふみこさんのひとりごと

ラーゲリより愛を込めて


いや〜〜〜泣いた。




ここ最近YouTubeでおすすめで出てくる動画を色々見てたんだけど、私のもともとの視聴傾向の影響で、戦争とか社会問題とかの動画が多くなってて。

で、今日はたまたまシベリア抑留に関する動画を見たのね。

シベリア抑留ってのは、私も知らんかったんだけど、簡単に言うと第二次世界大戦が終わって投降した日本人がソ連によってシベリアやらモンゴルやらに連行されて強制労働させられてたことをいうんだそうな。


終戦後」よ?もう戦いは終わって、日本は負けたという事実を背負って国へ帰ろうという時よ?


日本に帰るぞと言われて乗った貨車が、どんどん違う方に向かっていく絶望たるや…。
その先にいつ終わるとも知れん長い長い強制労働の日々があると思うと、想像しただけで背筋凍る。怖すぎる。ほんとに。


で、そのシベリアから生きて日本に帰ってきた方のお話がYouTubeで聞けるわけなんだけども、あまりに生々しい、過酷すぎる話に皿洗いしてる手を止めて口開けて聞き入ってた。(ながら作業用で流すのには色んな意味で適切でなかった)


マイナス20℃を下回る極寒、粗末な食事、過酷な労働、蔓延する病気、死んでいく仲間。

聞けば聞くほど地獄みたいなその日々を生きた日本人が、57万5千人もいたらしい。
そして5万8千人が死んでしまった。



どう受け止めればいいかわからなくてぐるぐるしてたら、動画のコメント欄で「ラーゲリより愛を込めて」の文字が目に入った。

タイトルは知っていて、ニノが出てることも、戦争に関する映画なのも、主題歌がミセスのSoranjiなのも知ってた。ていうかSoranjiの曲紹介で知った。
でもシベリア抑留のお話とは思ってなかった。


とにかくこのなんともいえん感情を咀嚼したくて早速プライムビデオで探したら、ラッキーなことにありましてね!

すぐ見た。夢中で見た。


そんでめちゃ泣いた。



これが完全なフィクションなら、御涙頂戴ものなんて呼ばれるかもしれないけど、実在した人物(山本幡男氏)の話を元にしてんだからもう言葉にならんよね。


とても過酷で苦しくて、切ないくらい温かい作品だった。


色々思った。
「どんな時でも希望を持って」「前を向いて」とかって、今じゃ単なる使い古された言葉って感じするけど、使い古されてるのはそれが真理だからなんよなと改めて。


いま、世の中は豊かに平和になった。
作中で願われた「希望」の世界になった。
でも絶望がなくなったわけじゃない。
こういう映画観たり、戦争の話を聞いたりして「あの時代に比べたら」とか思ってみても、今には今の、今だからこその苦しみがある。

なんなら状況が複雑化しすぎて、「希望を持って」「前を向いて」はより一層難しくすらなった。

でも、だからこそ、より一層大事なんよね。

未来はいつも未確定だって忘れないこと。
もう二度と笑えないような気がしたって、明日には喜びを見つけて心から笑えるかもしれない。
生きてれば。生きてこそ。それを忘れないこと。

希望を持って。前を向いて。
改めてその本当の意味を噛み締める。






それと愛すること。
愛するってどういうことか考えた。
心から人を想うこと。信じること。


私は基本一人が好きで、どっちかっていうと他人はあんまり好きじゃない。
でも最近とても好きな人ができて、とても特別で、その人をこれからの人生ずーっと大事にしようと思ってて。

そしたら、今までなら絶対「ふーん」くらいにしか思わなかったであろう主人公とその奥さんの愛や絆が、泣けるくらい尊いものに見えた。

私はこの奥さんみたいになれるだろうかと。
愛し抜いて信じ抜いていけるだろうかと。
私がもしモジミさん(notモミジ)だとしたら、こんな恐怖や不安を、待ち続けるばかりの年月を、想像するだけで涙が出そうなすべてを、「信じる」という心だけで乗り越えられるだろうか。そんなに強くなれるのか。


そして主人公の周りの人々のように、心からの感謝や尊敬に、命をかけて尽くし報いるだけの誠実な人間になれるだろうか。





紙に残せない遺書を、記憶して届ける
というくだりは実話らしい。

すごいよね。
そんなふうにしてもらえるほどの人徳があった山本幡男も、見つかればスパイ行為とみなされ没収されるその手紙を隠し持ちながら完璧に記憶して、さらに過酷な労働を生き抜いた彼の仲間たちも。

信念を持ち誠実であり続けた人々のかっこよさよ。


必ず届けねばという気持ちが彼らの生きる力になった部分もあると思うから、最後まで山本幡男は人々の背中を押し続けたんだよな。
どこまでもすごい。

こんな人が本当にいたんだなあ。


そしてそんな人が、遠いシベリアで、愛する家族を想いながら死んでいったのか。

戦争を生き抜いたのに。
戦争は終わったのに。

不条理の中で、絶望の中で、人を人たらしめたもの。


それが愛と希望、か。





こういうの、陳腐な言葉だと感じる人もいると思うけど、それは言葉が陳腐なんじゃなくて、上澄みしか掬い取れない心がそうさせてるんだと思う。


本当の意味やその価値に気付くには、やっぱりこういう作品に触れた方がいいんだろうな。




観れてよかった。
Soranjiの曲も私の中でさらに深みを増したし、ミセス聴いて寝よー。